ささやかな日々の雑記

奈良に住んでるおっさんの日記です。

台風

私の父は伊勢湾台風で死にかけたという昔話をよくしていた。当時名古屋に住んでいたのである。しかも南区の天白川沿いということで、Wikipediaの記載を見る限り結構被害の大きかった地域のようである。

話の内容としては、床上まで浸水し、もう駄目だというところまで水が来たこと、自分の好判断により家族が助かったこと、大量の死者を見たこと、足の親指の爪がはがれたこと、などである。

ただ当時父は常に同じ話ばかりする傾向があり、家族としては「またか」という思いしかなかった。伊勢湾台風の話になる頃には話はだいぶ佳境に入っており、話の終わりも近い、などと思いながら適当に聞き流していた。舎利礼文が始まったら読経も最後というのと同じである。多分真面目に聞いてたのは私の嫁さんぐらいだと思う。

父は既に故人なので今さら話を聞くことは出来ないが、そんなことならじっくり聞いておけばよかった、ともあまり思わない。薄情な息子である。唯一の親孝行とすれば同じ話を毎回々々初めて聞くかのごとく聞いてあげる、出来た嫁さんをもらったことぐらいか。

ということで台風を機に、父から聞いた伊勢湾台風の話でも書いておこうかと思ったが、よく覚えてないことに気付いた。